考える練習

マスコミが伝えない事実と解説・・・超政治的課題から日々の生活情報まで

  • 5 minutes 41 seconds
    考える練習(5) 節水は良いことか?・・・環境を題材に
    「節電は良いことか?」と似ていますが、「節水は良いことか?」も頭の体操として取り上げてみたいと思います. 一口に「水」といっても「海水」と「淡水」がありますが、地球上は「海水」が圧倒的に多く、それを太陽のエネルギーで蒸発させて淡水にしたものが川や湖の水で、人間に特別に役に立ちます。


    日本列島は自然に恵まれていて、降水量もその一つで年間6500億立方メートル。これは世界平均の約2倍、つまりかなりの水資源を持っているということになります。一度、地上に降った後、また蒸発するのが2300億m3ですから、およそ4000億m3が「使える水(淡水)」です。


    淡水の内訳は、農業・漁業に600億m3、工業用水に150m3、そして民間の水が150m3でおよそ900億m3が有効に使用されています。つまり、淡水の利用率はわずか22%程度ということです。かつて、川は主要な交通手段でしたから「淡水の利用」ということばかりではなく、「流れる水としての用途」がありましたが、今ではむしろ洪水などの原因になっても流れる水として生活に役立つことは少なくなってきました。


    このことを「日本の資源」ということで考えてみましょう。 「日本には資源がない」と言いますが、それは「石油、石炭、鉄鉱石」のような工業資源の一部だけを取り上げているであって、「太陽、海流、空気、水、石灰石、砂利、森林」などの資源を加えれば日本は決して資源が無い国ではありません。


    ただし、文科省が作っている教科書は資源について狭い見方(みんなが口にしていることをそのまま)で書かれているので、「日本には資源がない」とされていて、多くの子供たちもそのように錯覚しています。


    この錯覚は何をもたらしているかというと、たとえば水ですと「節水」ということになります。日本ではせっかく利用できる水の4分の1ほどしか利用していないのですから、「節水」とは「水をムダに海に流すこと」を意味しています。


    つまり、(奇妙な結論ですが)日本では「せっかく山に降った淡水の多くを利用せずに、ムダに海に流して塩水と混ぜている」と言っても良いですし、淡水を作るには太陽のエネルギーを使っていますので、「水を作り出した太陽のエネルギーをムダにしている」ということもできます。


    100%利用することは無理にしても、50%ぐらいは利用したいものです。そのためには「官がやっている水道事業を民に移して効率よくして、水の使用料金を2分の1にする」というところから始めるのが良いでしょう。


    日本の電気料金がアメリカの2倍であることで判るように、官・独占がやると民が行う場合の2倍は経費がかかります。「民がやると衛生が心配だ」という人もいるでしょうが、食品でもなんでも民がやっても規制がしっかりしていれば衛生的な問題はありません。むしろすでにペットボトルなどすべて民がやっているのですから、水道も同じです。今ではむしろ「水道の水は危険だから、ペットボトルの水を飲む」という時代でもあります。


    ・・・・・・・・・


    今回のブログは「考える練習」ですから、結論を得たいということではありません。「水は大切なもの。節水(使わない)」というのはどのような前提ででてきたのか? まだ工業化されていない社会で貯水池を作ることができなかった時代のことを引きずっているのではないか? 川の上流により水を有効に使える施設を作って日本の資源を有効に使うことはできないか? など「節約」が見当外れになっていないかを考えるのも大切です。


    このような問題は、先入観の少ない子供に課題を出して、いろいろ考えさせることによって、未来の日本の環境をさらに深く考える集団が生まれるでしょう。


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    (平成24年3月11日)
    28 May 2014, 11:34 am
  • 10 minutes 51 seconds
    考える練習(4) 節電は良いことか?
    モモの「時間泥棒」も有名ですが、社会にはなにかと人が大切にしているものを盗もうとしている人がいるものです。その一つに1990年までの高度成長とバブル崩壊で多くの日本人が「すこしやり過ぎじゃないか?もっと質素な生活をしないと」と思っているのを見て「これはお金を盗めるぞ」と考えた一団がいます。


    このことと似ているものに、「電子化されたお金の取引」が始まり、それまでは「金(きん)」とか「札束」という現物の移動があった巨額のお金の取引が、通信によって瞬時に行うことができるようになったという技術的進歩を逆手にとって、一儲けしようとした人が現れました。


    2008年のリーマンショック、2010年のギリシャ崩壊などはその一つの典型的な例とも言えるでしょう。金融は本来、多くの人の預金などを「社会で有用なことをしようとしている人に資金提供して社会の発展に寄与する」ことが目的ですが、それが「関係者の破滅を伴う単なるマネーゲーム」となったのです。


    さて、リサイクル、省エネ、温暖化、節電などはいずれもこの種の「お金泥棒」の類で、日本人が善良で節約家であることを狙ってきたものです。「もったいない」、「クールビズ」などもまったく同じ「ダマシの手口」なのです。


    ・・・・・・・・・


    節電はなぜ「ダマシ」なのでしょうか? それにはまず「アメリカ人一人あたり消費している電気は日本人の2倍」、「アメリカの電気代は日本の2分の1」、「日本の製品はアメリカの製品より安くて便利」、「日本人とアメリカ人はほぼ同じ所得」という4つ連立方程式を解いてみましょう。


    このような連立方程式を自分で解くときには、「あまり詳しいデータに振り回されず、少ないデータで頭を巡らす」ことをして、最終結論が得られたら、それからネットでデータを調べるなり、なにかのチャンスがある時に専門家に聞いてみるのが良いと思います(専門家の多くは複雑に回答してくると思いますが)。


    ・・・さて、始めます・・・


    東電が電気を作るのと新日鐵が鉄鋼生産をするのは工業生産としてはそれほど変わらない。かたや石炭を焚いてタービンを回して電気を作り、かたや石炭を焚いて高炉で鉄を溶かして還元する。両方とも大規模でエネルギー産業である。


    日本の鉄鋼は世界でも強い競争力を持っている。それなのになぜ、電気はアメリカの2倍のコストがかかっているのだろうか? 電気を作るコストは燃料費の他に、発電効率、送電距離などがあるが、いずれもアメリカより日本の方が優れている.発電効率の日本の技術は世界に誇るものだし、送電距離は国土の広いアメリカと日本では比べものにならない。


    となると、技術的には「電気代が2倍高い」とか「日本は一人あたりの電気をアメリカの2分の1しか作っていない」という疑問はますます深くなる.


    ・・・・・・・・・


    「考える」ためにはこの辺で一段落しておいた方が良いのが普通です.あまりギリギリと追い詰めるとだんだん専門の領域に入り、そこでうっかり「電力のデータ」などを参考にすると、また振り出しに戻ってしまうからです.


    この問題の難しいところは「本当に知らなければならないデータ」は、電力やマスコミが利害関係で明らかにしていないことと、「節電は大切なことだ」という「思想」とがあるところで交錯していることによります。自分の心から「節電が良いか悪いかということと、日本人がなんでアメリカ人に対して2分の1しか使えず、さらに節電しなければならないのか?」を分けることがとても難しく、データはそのところでキュッと曲がってしまっているからです.


    実際には、電力が独占であること、議員や学者にお金を配っていること、役人の再就職に骨を折っていることなどに起因しているのですが、それを具体的な数値で追い詰めるのは難しく、おおよそこのぐらいでいったん引いて少し外から見るのが正解です.

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    (平成24年3月9日)
    28 May 2014, 11:33 am
  • 10 minutes 20 seconds
    考える練習(3) なぜ、人は眠るのか?
    眠れない夜。絶好の「睡眠薬」があります。たとえば「人はなぜ眠るのか?」と考えてみます。


    地球ができたとき、まだ地球が若くて元気だったので1日は4時間半だったと考えられています。それからさらに40億年の年月が経って多細胞生物が海の中に生まれた時にはすでに1日が20時間を超えるようになり夜も8時間ぐらいになっていたでしょう。


    やがて陸上動物が活動し始めます。昼の活動中は老廃物が体の中に蓄積し、最初はすぐ肝臓などで処理したのかも知れません。でも、夜行性の動物は別にして昼に活動するものは活動できる時間をフルに利用し、どうせ活動できない夜にまとめて老廃物を処理するものが登場してくたことも容易に考えられます。


    簡単に数字で示しますと、活動しながら老廃物を処理する場合は1時間に1.0しか行動できないとすると、1日の半分を活動し、1日の半分は寝ていて老廃物を処理するだけに使う動物は1時間に2.0の活動ができることになります。2倍の活動量ですから、「寝る動物」が「寝ない動物」より競争力があり、次第に「寝る動物」ばかりになったとも考えられます。


    ・・・・・・・・・


    人間の睡眠時間はほぼ7時間ですが、4時間半が老廃物の処理、2時間程度が頭脳の情報の処理、そして30分ぐらいがその他の調整と考えられています。


    かつて人間は毎日、畑にでて朝から晩まで力をふるい、あるいは家事に追いまくられて生活をしていました。その時の昼間の活動量は今の2倍はあるでしょう。そこで蓄積された老廃物を処理するのに4.5時間ですから、今では3時間もあれば十分と考えられます。


    一方、頭脳活動の方はやや盛んになったとはいえ、かつては「天気はどうか?」、「不意に盗賊が襲ってくることはないか?」など考えることも多かったのですが、今ではスイッチ一つ、命令一つでそのまま動けば良いのですから、頭脳もほとんど使わなくなったと思います。それでも一応2時間程度その他の活動も含めて割り振ってみます。


    そうすると{老廃物3時間+頭脳2時間}で5時間睡眠が適当ということになります。いずれにしても、現代ほど肉体労働が少なければ体の老廃物が蓄積することは無いのかも知れません。「泥のように眠った」と昔はよく言いましたが、体が疲れていると「バタンキュー」だったのです。


    ・・・(ここまで考えてもまだ寝付けないときに)・・・


    ところで現代人は昼間の老廃物が夜に残ることがあるのでしょうか? 食べ過ぎて消化にエネルギーを使う場合は別にして、健全な生活をしていたらもしかすると老廃物をとるために夜、寝る必要が無いかも知れません。


    30年ほど前、ある実業団のテニス部の部長をしていたことがありました。ある時、キャプテンが並外れた体力を持っていて、練習中は若干老廃物がたまっている感じがしましたが、ベンチで休んでいるとみるみる回復していくのが判るのです。合宿などに行くと毎日3時間ほどしか眠らないのに、体の切れが変わらず疲労が蓄積しないのです。


    その時、私は「ああ、活動中に回復する人もいるのだな」と感心したものです。人によって違うと思いますが、もしかすると「現代風の訓練」をすることによって活動中に老廃物を処理できれば寝るのは2時間ということになります。


    さらに頭の情報を処理するのも最先端のコンピュータのように「活動量が減った隙に処理する」という並行処理を行えるようになれば、寝なくても良いのかもしれないのです。


    ・・・・・・・・・さらに私は考える・・・・・・


    ところで「眠る」というのはどういう状態を言うのでしょうか? 目をつぶってベッドで横になっているのは「眠る」とは言いません。意識がなくなり普通の意味で「眠る」状態にならないと眠ったとは言いません。


    でも、体の老廃物を処理するなら、横になって目をつぶり体の力を抜いて「基礎代謝」だけにすれば、むしろ意識があるので体の老廃物の処理速度は速くなるでしょう。そして老廃物が処理されてから、おもむろに頭の情報処理をするために「眠る」だけで良いのかも知れません。そうすると「横になっている時間が5時間から3時間ほど」で、「眠る」のは2時間で良いということになります。


    「眠れない」と悩むときには、まず第一に「考える練習」をして、それでもイライラするときには、「横になっていれば体は休まる。頭はどうでもよい」と思えば、不眠症も緩和されるでしょう。


    ところで、アメリカ人90万人、日本人10万人(別々の調査)を対象にした睡眠時間の調査によると「睡眠時間7時間」がもっとも長寿で、短くても長くても寿命が短いとされています。


    このような結果は何回かでているのですが、「睡眠時間が長い人はなぜ短命か?」という疑問があり、病気の人は睡眠時間が長いかも知れないということで、病気の人を除いた調査を行っても、同じ結果が得られました。そこで、どうも「眠っている時間」は代謝が少ないのでその間に細菌などの攻撃を受けるのではないかと考えられています。


    ・・・・・・すやすや・・・・・・

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    (平成24年3月5日)
    28 May 2014, 11:33 am
  • 4 minutes 16 seconds
    考える練習(2) 1年1ミリ問題
    この1年。「どのぐらいの被曝まで大丈夫なの?」ということが、さまざまなことで報道され、多くの人が迷いました。でも、この問題は「医学」でもなんでもないのです。被曝の知識が何もなくても、正しいことが判るという練習をしてみたいと思います。


    ・・・・・・・・・


    解説者:「基本的には放射線の被曝はそれほど危険じゃないんだね。これまでの研究では、1年100ミリシーベルトまで大丈夫というデータもあるんだ。」


    視聴者:「そうですか?! でも、今まで放射線はとても怖いって聞いていたのですが?」


    解説者:「世の中にはバカもいるからね。特に反原発の人なんかはなにも判らないのに、危険だ、危険だと騒いでいるんだ。」


    視聴者:「なにか、1年1ミリとか聞いたことがあるのですが? 日本では国民を被曝からまもる法律もあるとか?」


    解説者:「人体と健康の関係はね、LNT仮説、閾値仮説、ホルミシス効果など多くの学説がある。LNT仮説を採れば1年1ミリもあるが、閾値仮説なら1年100ミリもあるし、ホルミシス効果から言えば被曝した方がよいということになる」


    視聴者:「世界的にも被曝量で合意した量があると聞いていますが?」


    解説者:「その通りだ。ICRPという機関が合ってね、国債放射線防護委員会という公的な委員会なのだが、そこで1990年に国際的に合意している。原発の事故が起こったときには、1年100ミリまで認めようという機運もある。」


    視聴者:「なんだか判らなくなってきたので、最初の質問に戻らせていただくと、日本の法律で決まっている量はあるのですか?」


    解説者:「ある。原子炉の作業員は1年20ミリだし、医療に携わる人の場合はそれぞれ決まりがあって、厳格に守られている。」


    視聴者:「私はどのぐらいですか?」


    解説者:「えっ?あなた?あなたは関係がない。放射線の法律は放射線を出す人は機関を規制するものだから、放射線を出さない普通の人の規定はないよ。車だって運転している人には最高速度の規定はあるけれど、歩行者にはないのと同じだ。」


    視聴者:「なるほど??判ったようでどうも判らないのですが、そうすると、私たちは被曝から守られていないということですか?」


    解説者:「そんなことはないよ。最高速度の制限があるように、守られているんだ・・・(困ったな。ついに言わなければならないか・・・でも、時間かせぎをしている間に、放射性ヨウ素は半減期が8日だからもう無くなっているから、ごまかせたかもしれないな)・・・1年1ミリだね。法律では。」


    視聴者:「えっ!1年1ミリなんですか? 法律?! 被曝量は法律で決まっているのですか?」


    K:「当然じゃないか。日本は法治国家だよ。それに50発以上の原発はあるし、医療関係でも放射線をずいぶん使うのだから、国民を被曝から守る法律はあるよ。決まってるじゃないか。」


    S:「その法律を決める人は誰ですか?」


    K:「最後に決めるのは国会だけれど、最初は医者や被曝の専門家が委員会で決めて、それを官僚が法律の形にするんだ。もちろん、委員会の医師や専門家は大きな機関の長や責任者が多いね。その意味では当たり前だけれど法律の数値を決めるのだから「権威ある専門家が決めた」と言っても良いんだ。」


    S:「その人たちが決めたのは1年何ミリシーベルトですか?」


    K:「ん? 1年1ミリだよ」


    S:「えっ! 1年1ミリ?! さっき、1年100ミリと教えていただいたと思うのですが?」


    K:「それは君。そういうデータもあるという意味だ。学問だからね。いろいろな学説があるんだよ。」


    S:「福島の原発事故の後、NHKを見ていても「法律で1年1ミリと決まっている」ということはまったく聞いたことがないのですが」


    K:「福島の原発事故は非常時だからね。法律より学問の方が大切と思ったんだろう」


    ・・・・・・・・・


    1年1ミリ問題の場合は、政府、自治体、マスコミ、専門家は国民に真実を知らせることをできるだけ先に延ばし、放射線が減少してきたところで正しいことに移るという作戦でした。


    それは放射線が高いときに被曝させることになったのです。専門家のごまかしの一つにこのように「ポイントになることを言わずに、その周辺を解説する」というのも常套手段のようです。でも、論理的に少しずつ追い詰めることはできます。


    この場合は「法律はあるのですか?」の一発です。なお、政府が盛んに「従わなければならない上司」のように口にしていたICRPという組織はグリーンピースやシーシェパードなどと同じようなNPO(任意団体)です。政府がICRPに従うなら、シーシェパードに従って捕鯨を中止する必要があります(実にバカらしい!)。

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    (平成24年2月22日)
    28 May 2014, 11:32 am
  • 8 minutes 9 seconds
    考える練習(1) (明るくなる話) 石油の寿命40年?
    そういえば、かなり前から「日本政府」というのは無かったのかも知れません。でも長い自民党政治の中で、なんとなく「政府」というのがあるような錯覚襲われていたような気がします。



    でも、原発事故で「国民を守ろうとする政府」がすでにいないことがハッキリしました。かくなる上は国民が一人一人で自分と自分の家族を守らなければならない時代が日本にもきたということになります。


    そこで、このシリーズ(三日坊主にならないように!)では、「政府無し、NHKがウソをつくとして、自分で考えて正解を見つける」という練習を「知識を増やさずに、今のまま判る練習」を目指したいと思います。


    「知識がなければ正しい判断はできない」というのが普通ですが、どうも今の日本はそれ以前のことが多いように思うからです.知識は小学生でも良く頭を巡らすことができれば、かなりのことまで判るし、それから質問するとその質問もかなり的を得たものになるからです。


    ・・・・・・・・・


    解説者:「石油会社が確認している油田の量を「確認埋蔵量」と言うが、それはわずかに40年分なのだ。だから、確実な石油の寿命は40年で残りが少ない。」


    視聴者:「えっ!あと40年しか無いのですか?! ところで、むかし石油の会社は大きくて「メジャー」と言われていたような気がしますが、大きな会社が油田を持っているのでしょう?」


    解説者:「そう、かつてはセブン・シスターズなどと言っていが、今は、エクソン・モービルやロイヤル・ダッチ・シェルなどを「スーパーメジャー」と言っている」


    視聴者:「大きな会社ですから、歴史も古いんですね?」


    解説者:「そうだ。ロックフェラーが作ったスタンダード石油が1911年だから、今年でちょうど100年になるな」


    視聴者:「創立100年の会社なのに、これから石油が40年しかないということになると、会社が40年しか持たないのですから、不安ではないのですか?」


    解説者:「ん? 会社が40年しか持たないって?」


    視聴者:「だって、石油が40年しかないんでしょう? 石油が無くなったら石油会社は売るものがなくなるんじゃないですか?」


    解説者:「えっ?石油が40年しかない? 何で?」


    視聴者:「さっき、そういわれませんでしたか?」


    解説者:「ああ、それは「確認埋蔵量」だよ。私は確認埋蔵量って言ったはずだが」


    視聴者:「だって、石油はあと40年って言われたでしょ」


    解説者:「慌てちゃだめだよ。私は「確認埋蔵量」の解説もしたはずだ。確認されている石油は40年っていうことだよ」


    視聴者:「それじゃ、今から石油ショックの時に「石油があと40年」と言っていたのも「確認埋蔵量」ということですか?」


    解説者:「そうだ。無くなるわけじゃない。」


    視聴者:「それじゃ、石油が無くなって、そのスーパーメジャーとかいう会社が仕事ができなくなるのはいつ頃なのですか?」


    解説者:「スーパーメジャーが別の仕事をしだしたということも聞いたことがないから、まだかなり先なんじゃないか。第一、スーパーメジャーは40年先の油田しか探していないし、もしそれで無くなるというなら先を争って探すから、かえって確認埋蔵量は増えるだろうから」


    視聴者:「確かにそうですね。40年までしか油田を探していないということは、探せばすぐ見つかるという自信があるからでしょう。それにしても「石油が無くなるから節約しろというのはどういうことなのでしょうね」


    ・・・・・・・・・


    石油は探査を始めてから生産まで30年ぐらいかかります。でも、石油はたっぷりありますので、メジャーはギリギリにならないと新しい油田を探査しません。つまり、油田の候補地は多いし探査をし始めたらすぐ見つかるので、他の会社に先を越される心配もないからです。でも、この解説者はそれを説明するのを巧みに逃げ、日本人に「石油はまもなく無くなる」という錯覚を与えているのに成功しています。


    こういう解説者を「頭が良い」と言うことがありますが、頭というのはそんなことに使うのですか?


    ・・・用語解説・・・


    「確認埋蔵量」:すでに石油会社などが開発している油田にある量。寿命は40年ぐらいが普通で、40年前からずっと40年と言われている。


    「究極埋蔵量」:確認埋蔵量などから推定した最終的に人間が掘ることができる石油で、その寿命は550年から600万年(600万年であることに注意)。


    「takeda_20120219no.430-(8:11).mp3」をダウンロード


    (平成24年2月18日)
    28 May 2014, 11:31 am
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