笹川日仏財団がお届けするプログラム「フレンチ・クラシック・カフェ」。フランス音楽の素敵なところをちょっと変わった切り口でご紹介します。ご案内役は軽妙なトークで定評のある指揮者の中田昌樹さんです。 《中田昌樹プロフィール》 1951年札幌生まれ。道立札幌西高校卒業。国立音楽大学器楽学科卒業後、フランスに留学。パリ・エコール・ノルマル音楽院指揮科を一等賞首席にて卒業。アメリカ・タングルウッドで小澤征爾、バーンスタインの教えを受ける。 パリ・コンセール・パドゥルー管弦楽団を指揮してヨーロッパデュー、その後、フランス国立リヨン管弦楽団で音楽監督セルジュ・ボドのアシスタントを務める。ベルリン放送交響楽団、ブルガリア国立ソフィア室内管弦楽団などヨーロッパ各地で指揮。 帰国後、新国立劇場開場当初からオペラ制作に携わり、オペラ研修所特任講師も務める。 吹奏楽の分野では、吹奏楽コンクール全国大会/支部大会/県大会の審査、各地の指揮講習会の講師を長年に渡って担当。 札幌大学文化学部 客員教授、新国立劇場オペラ制作部 専門員、新国立劇場オペラ研修所特任講師 、Institut Francais du Kyushu (九州日仏会館) 『フランス音楽の陰影』レクチャー講師 等を歴任。
レイナルド・アーンは、外交官であるユダヤ系ドイツ人の父とバスク人の母との間に13番目の子供として、ベネズエラの首都カラカスで生まれました。3歳の時にフランスに移住し、11歳でフランス国立パリ音楽院に入学。13歳で有名な『私の詩に翼があったなら』を書いたほどの早熟の天才でした。
師匠のジュール・マスネのおかげで、パリのサロンで演奏する機会を得て、自らの曲を自らの美声で披露。生涯のパートナーとなる作家のマルセル・プルーストともそこで出会ったようです。
今回は、パリで活躍するソプラノ歌手の安田麻佑子さんがフランスのレーベルArties'sから2016年に発表したアルバム『Estampes』より、アーンの歌曲2曲を届けします。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】レイナルド・アーン作曲 『春』『リラの茂みのナイチンゲール』
安田麻佑子(ソプラノ)/ロマン・デシャルム(ピアノ)
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
ジュール・マスネの3回目となる今回は、歌劇『ウェルテル』を取り上げます。
原作はゲーテの『若きウェルテルの悩み』(1774年)で、当時ドイツの革新的文学運動「疾風怒濤」の代表作として知られますが、これに呼応するかのようなドラマティックな曲が『ウェルテル』にもみられます。
「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」は、ゲーテも愛読していたオシアンの詩に託して、片想いの相手のシャルロットにウェルテルが自分の気持ちを吐露する歌で、とても情熱的な曲です。
最後にウェルテルがピストル自殺を遂げてしまうこの『ウェルテル』は、家族向けの舞台を志向していたパリ・オペラ・コミック座での初演を拒否されましたが、ウィーン宮廷歌劇場がマスネの『マノン』の成功を聞きつけ、ドイツ語翻訳版で1892年にウィーンで初演。翌年パリ・オペラ座でフランス語版が上演、1903年の再演後に聴衆の心を掴み、1960年代までに1300回以上も上演されるヒット作となりました。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジュール・マスネ作曲 『ウェルテル』より第3幕「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」
ジャン=クロード・カサドシュ/指揮 マルクス・ハドック /テノール リール国立管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
今週も続けてジュール・マスネの楽曲をお届けします。
マスネは多作の作曲家で、未発表、未完のものも含め39曲のオペラ、オペラ・コミック作品を書いたと言われています。その中でも、もっとも有名なオペラ『タイス』の第ニ幕への間奏曲がこの『瞑想曲』です。
甘美なメロディの中に劇的な効果が感じ取れるのは、巧みな転調のおかげでしょうか。倚音(いおん)という装飾的な音を巧みに低音に使用することで、マスネの特徴的な音の広がりが生まれます。
そのほか、指揮者の始まりとなったと言われる、ルイ14世時代の宮廷楽長リュリについてのエピソードにも触れられています。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジュール・マスネ作曲 『タイスの瞑想曲』
ジョルジ・シェルメツィ/指揮 ヤーノシュ・シェルメツィ/ヴァイオリン カメラータ・トランシルヴァニカ/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
ジュール・マスネ作曲『絵のような風景』の4回目、第1曲の行進曲をお届けします。
マスネといえば、オペラの作曲家という印象が強いですが、初期のうちに作曲した管弦楽曲の旋律は、歌詞をつけるとそのままオペラのアリアに出来るような華麗なものです。
11歳でパリ高等音楽院に入学し、サン=サーンスやマスネの教えを受けたからでしょうか、和声や対位法をしっかり身につけていて、独特の安定感がある一方、曲の風景を一瞬にして変える技法も持ち合わせています。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジュール・マスネ作曲 組曲第4番『絵のような風景』第1曲 行進曲
ジャン=イヴ・オッソンス/指揮 ニュージーランド交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
ジュール・マスネ作曲『絵のような風景』の3回目です。
この組曲の第2曲目はどこまでも軽やかです。「舞踏曲」とありますが、バレエというよりは無言劇を彷彿とさせるようなサウンドです。
スコアにトライアングルの「ソロ」とわざわざ書いてあるのは、ソリストとしての「やる気」を引き出すためなのでしょうか…。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジュール・マスネ作曲 組曲第4番『絵のような風景』第2曲 舞曲
ジャン=イヴ・オッソンス/指揮 ニュージーランド交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
ジュール・マスネ作曲『絵のような風景』の2回目です。
カミーユ・サン=サーンスの意向が働いたかどうかは定かではありませんが、マスネはそのキャリアの初めは多くの管弦楽曲を書きました。組曲もその一つで全部で7作品を発表しています。
4番目に書かれた組曲『絵のような風景』の第3番は「お告げの鐘」(Angelus)と副題がついているように、キリスト受難の秘技を知らせるためエンジェルが出現することを鐘によって告げる場面を描いています。
ここでは、ホルンの硬質な音とユニゾンで演奏される弦楽器の音色の組み合わせが絶妙なサウンドを奏でます。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジュール・マスネ作曲 組曲第4番『絵のような風景』第3曲 お告げの鐘
、ジャン=イヴ・オッソンス/指揮 ニュージーランド交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
今週から4回にわたってジュール・マスネ作曲『絵のような風景』をお届けします。
当時のフランス音楽界の大物、カミーユ・サン=サーンスの眼鏡にかなうほどの才能の持ち主、マスネ。11歳でパリ音楽院に入学し、20歳でローマ大賞を受賞、36歳でパリ音楽院の作曲家の教授に就任という輝かしいキャリアを持っています。
未完のものも含めオペラも27曲書いたほどの多作家でしたが、最初はやはり管弦楽を多く著しました。組曲も7作品を作曲していて、『絵のような風景』はそのうちの4曲目にあたります。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジュール・マスネ作曲 組曲第4番「絵のような風景」第4曲 ジプシーの祭り
、ジャン=イヴ・オッソンス/指揮 ニュージーランド交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
小澤征爾氏を偲ぶ回の最終回です。
小澤征爾さんの『ボクの音楽武者旅行』に登場するマエストロの人生にとってのキーパーソンの一人、萩元晴彦さんのプロデュースの元、もう一人のキーパーソンである田中路子さんにオマージュを贈る演奏会がサントリーホールのオープニングシリーズの一つとして企画されました。
田中路子さんが大賀典雄・若杉弘・小澤征爾といった才能ある音楽家たちを育てサポートしてきたからこそ、いまの日本のクラシック音楽がある、と萩元さんはお考えになったからだそうです。田中路子さんにお世話になった最後の世代ということで中田昌樹さんに白羽の矢が立ち、この演奏会のタクトを振ることになりました。
また田中路子さんのご紹介で、当時ウィーン歌劇場の事務局長だったエゴン・ゼーフェルナーの知己を得た経緯、彼の『ウィーン -わが都-ウィーン音楽界回想録』に書かれていた「まずは音楽、お次に台詞」にまつわるエピソードも語られます。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】エクトル・ベルリオーズ作曲『幻想交響曲』第五楽章
レナード・スラットキン/指揮 フランス国立リヨン管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
小澤征爾氏を偲ぶ回の第3弾です。
若き日にマエストロ・オザワの『ボクの音楽武者旅行』を読み、大いに憧憬心と冒険心を掻き立てられた中田昌樹さんですが、後日本人から直接聞いたエピソードを加えながら本に書かれている内容を紹介します。
小澤征爾さんにとって3人のキーパーソン、 田中路子さん、萩元晴彦さん、森保淳さんとの興味深い逸話も披露されます。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】エクトル・ベルリオーズ作曲『ファウストの劫罰』より「ラコッツィ行進曲」
ジャン=クロード・カサドシュ/指揮 リール国立管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
今回も小澤征爾さんを偲んだ番組をお届けします。
クロード・ドビュッシーの『夜想曲』は「雲」「祭」「シレーヌ」から成る作品です。「シレーヌ」は歌詞のない女性合唱が入ることもあり、演奏会では「雲」と「祭」の2曲のみ上演されることも結構あります。
「シレーヌ」の合唱をどこに置くかはこの曲の一つの見どころですが、マエストロ・オザワが採った斬新な方法は中田昌樹さんの印象に強く残ったようです。
また、クラウディオ・アバドが7歳のときに演奏会で聴いた「祭」がきっかけで、指揮者になることを決意したエピソードも語られます。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『夜想曲』より「祭」
準・メルクル/指揮 フランス国立リヨン管弦楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
2024年2月6日、88歳で逝去された小澤征爾さんが9月1日生まれであることから、9月はこの世界的マエストロを偲ぶ月間として、パーソナリティの中田昌樹さんが小澤征爾さんから直接示唆を受けた曲、あるいはマエストロが得意としていたフランスの作品をお届けします。
中田さんは日本に一時帰国した際、小澤征爾さんとの知遇を得て、パリ・オペラ座で舞台稽古のアシスタントを務める機会に恵まれ、その後アメリカ・タングルウッドで勉強することになります。そこで課題曲として振ったクロード・ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』に、マエストロ・オザワがコメントします。果たしてその内容は如何に。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】クロード・ドビュッシー作曲『牧神の午後への前奏曲』
中田昌樹/指揮 エルムの鐘交響楽団/演奏
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
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